【中日ドラゴンズ】『燃えよドラゴンズ!』の歌詞と同じ打席結果で進行した試合が存在するのか調べてみました
中日ドラゴンズの応援歌『燃えよドラゴンズ!』という曲をご存知でしょうか。
ナゴヤドームのネーミングライツを興和が取得し(バンテリンドーム ナゴヤ)、それに合わせ歌詞の一部変更が決まったことが最近話題にもなりました。
主に中日が好成績を残した年に年度版の曲が発売され、その年に活躍した選手の名前が多く登場するユニークな曲となっています。
1番〇〇(選手名)が塁に出て
2番〇〇がヒットエンドラン
3番〇〇がタイムリー
4番〇〇がホームラン
いいぞがんばれドラゴンズ 燃えよドラゴンズ!
たとえば上記の歌詞はほとんどすべての年度で登場し、実際にその打順で多く出場した選手が歌詞に入るため、曲を聴くだけでその年の陣容がだいたいわかったりします。
燃えよドラゴンズ!はこれまでに22年分の年度版の曲が出ていますが、
「これだけ曲があればもしかして歌詞通りの打席結果で進行した試合が存在するのでは…………?」
と気になったので今回調べてみました。
調査方法
燃えよドラゴンズ!では上記の1~4番打者の歌詞が打席結果とともに歌われています。
そのため年度版の曲が発表されたすべての年*1においての、中日ドラゴンズ公式戦全試合(CS、日本シリーズ含む)計3086試合を対象に、1~4番打者の打席結果(第1打席のみ)を集計しました。
参考にした資料ですが、
2008年以降の打席結果は中日ドラゴンズオフィシャルウェブサイトの一軍試合日程・結果、
2002~2007はベースボール・レコード・ブック(ベースボール・マガジン社出版)で全打席結果が得られました。
ところが2001年以前の打席結果については情報を得られる出版物がなく、集計序盤で頓挫しそうになったのですが、たまたま野球殿堂博物館の図書室(要予約)で1958~2018のプロ野球公式戦全スコア公開キャンペーンが行われていたため無事に集計できました。ついでに慶應式スコアブックの読み方も覚えた。
2ヶ月通いました。本当にありがとうございます。
クリア条件
歌詞と同一の打席結果かを判断するため、歌詞に対してのクリア条件を決める必要があります。
・1番〇〇が塁に出て~
塁に出ればなんでもOK。次の打者にヒットエンドランしてもらう都合、ホームランはNGとします。
・2番〇〇がヒットエンドラン~(送りバント)
◎→安打(単打、二塁打、三塁打)、犠打、内野ゴロ(併殺打は除く)、エラー出塁
※1番打者が塁に出ていること前提
ここの条件決めが一番難しく、というのも打撃とともにランナーが走っていたかを後から確認するのはスコアブックでも不可能です。恐らく試合映像をすべて確認する方法しかない。というわけで、ヒットエンドランが生じる可能性のある打席結果はすべてOKとします。
また、1974,79,82,98年度版に関しては2番の歌詞が送りバントになっています。年度によって歌詞が異なりますが、どちらも2番の打席結果として歌われているということで犠打もOK扱いとします。
次の打者にタイムリーしてもらう都合ホームランはNG。
・3番〇〇がタイムリー
ホームランは一般的にタイムリーとは呼ばないのでNG。
・4番〇〇がホームラン~
◎→本塁打
ここだけホームランが絶対。
結果
上記の条件で抽出したところ、3086試合中7試合がヒットしました(打席結果の一致)。しかし打順まで含めた完全一致は残念ながらなしという結果に……
特に惜しかったのが1982/8/14で、歌詞では1番から田尾平野モッカ谷沢の並びであり、またこの年は2番打者の歌詞が送りバントのため、3番打者の名前が合っていれば完全一致となっていました。
他の一致データについても、歌詞と一致していない打順の選手がかなり多い結果となりました。後述しますが、1~4番の打順が歌詞と完全一致するパターンは3086試合中733試合(23.8%)しか存在しません。歌詞通りの打順になるハードルから高いことがわかります。
燃えドラデータあれこれ
ある意味本編。せっかくデータ集めたので燃えドラに関するあれこれを。
・歌詞の打順との一致率(年度別)
燃えよドラゴンズ!の歌と実際の打順の一致率はそこまで高くなく、一番高い年で2005年の74.7%、なんと低い年は1975,87,08年の0%でした(1975,77は歌詞に打順が含まれていないため登場順)
2000年は1番打者が種田・関川、2番打者が井端・福留と歌われる登場人物の多い贅沢な歌詞でしたが、それでも一致率は10.4%でした。
シーズン序盤に出た燃えドラは一致率が低くなりやすい、また年間通してなかなか打順が固定されづらい年度があったり…などという要因もあり全体では一致率23.8%に落ち着いています。
・燃えドラ対象(第1打席)の通算打席結果
燃えドラの対象(?)になっている全3086試合の第1打席だけを通算した結果です。OPSが4>3>1>2番なのはイメージ通りで綺麗な結果が出たのではないでしょうか。
3086打席に対する歌詞達成率も出してみました。3割3分ぐらいは1番打者が出塁しますが、3番打者のタイムリー(5%)でガクッと出現率が下がり、さらに4番打者のホームラン(4.4%)を重ねる必要があるため達成はなかなか厳しそうです。
・実際の出場選手ランキング
燃えドラが出た年に実際に出場した選手の試合数ランキングです。2000年代に活躍した荒木井端福留ウッズが2位に差をつけてトップなのですが、
見ての通り90年代後半~10年代前半までは燃えドラが出なかった年のほうが少ない時期なので、自然にその当時活躍してた選手が多い結果となりました。荒木井端だけで1,2番の3分の1を占めており、燃えドラの上位打線で最も歌われたのもこの2人です。歴史。
おわりに
ちょっと面白そうだったのでベースボール・レコード・ブック参照すれば分かるかなと軽い気持ちで集計を始めましたが、スコアブックを直接参照する必要があったりで集計だけで2ヶ月かかりました(毎週日曜野球殿堂博物館の図書館に行ってました)。
まだ燃えよドラゴンズ!と完全一致した打席結果はないので、歌詞通りになれば中日ドラゴンズ史上初めてということになります。その時にこの記事がまた日の目を見てくれれば嬉しいです。結構がんばったので…………
動画
せっかくなので動画版も作ってみました。良かったら見に行ってあげてください。
*1:1974,75,77,79,82,87,88,91,93,98~00,02,04~08,10,11,14,19